\ 老麺を増やしましょう♪ /

老麺とはなんぞやと思われた方も多いのではないでしょうか。
家庭で製パンをされている方は、「聞いたことある」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、まずお料理のみされる方だったら、ローメン?老いた麺?え?って感じでしょうか。


料理法には一応の知識がある私でも「ん?」という感じだったわけで、製パンをする家族は「聞いたことあるよ」と一応の知識はありました。


老麺の扱い方法の覚書として、譲り受けたけどどうしていいか分からない方もいらっしゃるだろうと思いますので、わたしなりに実験した結果をちょっとだけ記しておこうと思います!


老麺は中国の古い時代から使われている天然の酵母です。
日本で饅頭を作るときは酒粕などを使ってガスを発生させ膨らませますが、この老麺も一緒で、包子(饅頭)を膨らませる素として使います。現在本場中国でも老麺を使って包子を作るところは少なくなってきているそうなので、中国の方にとっても珍しいかもしれません。


種の一部を残して培養して、継ぎ足し継ぎ足しで脈々と受け継がれていくそうです。
ですので、家庭や店舗によってはウン百年ウン千年前から使われてきた種を持っている場合もあるということです。(小林秀雄のエッセイにも出てくる)


ではまず、老麺の増やし方(培養)。
いくつか方法があるようですが、2種類の方法を試してみて両方増えたので、どんな増やし方でも構わないようです。


老麺も天然酵母なので、繊細かと思いきや結構頑丈です。
そりゃそうです。衛生状態が今よりも悪かったころから脈々と受け継がれている菌ですから、繊細なわけがありません。

天然酵母などの製パン法を紹介しているところでは、「生地が痛みますから、優しく云々」と書かれているサイトもありますが、引きちぎろうが何しようが菌は菌。
製パンの場合膨らんだ後はそれなりに優しく扱わないといけないのかもしれませんが、生地を捏ねる段階では『菌』ですから、多少雑に扱っても何ら問題はありません。

何よりも大事なことは、老麺の菌を生地全体に行き渡らせるように捏ねることです。


次に大事なのは、温度。
発酵に適した温度というのがあるので、それを守れば簡単に培養できます。
菌の培養温度は大体何に対しても同じで、25~40℃の間です。
(最近入手した本には36、7℃とのことなので訂正しました)
日本の住宅事情では空調しますから、32℃程度がMAXでしょうか。

勿論、今の時期(冬)のように温度が低い場合活動が弱くなるので、温度管理された室温を用意することが大切です。


この温度は、ヨーグルトの菌にしろ悪名高いブドウ球菌にしろ他の菌も活発に活動する温度。
しかし、不思議なことに老麺だけは、なぜか他の菌に冒されることなく(!)、培養できます。
天然酵母を培養するときみたいに、容器を煮沸する必要も感じませんので、神経質にならなくて大丈夫です!ただし、納豆菌には弱いらしいので、納豆菌の近くには置かないでね、ということに注意すれば、OK!


では、具体的な培養方法を記しておきます。


培養方法(1から増やす方法ではなくて、元種を持っている場合のみ)


方法1:水に元種を溶かして、粉と混ぜて捏ねる。

方法2:元種を粉に入れ、指の腹を擦り合わせながら、生地が出て来たら粉を付けながら同様に作業していき粉状にして、水を加えて捏ねる。(バターと粉を合わせるときと同様)


配合としては、色々試してみて適当で大丈夫なんですが、老麺を入れて、粉を入れて、捏ねやすい硬さにすればいいんではないかと思います。
適当な!と言われそうなんですが、何回か試してみて、硬くても発酵するし、柔らかくても発酵する。
もちろん、極端に硬かったり柔らかくなければ、の話で、概ね、耳たぶくらいの硬さに練っておけば大丈夫なはずです。












パンの発酵のように2倍にプーッと膨らんでサワー臭がして、容器の裏を見てみて気泡が確認でき、スパチュラで表面を割ってみてハチの巣のようになっていると生地の培養は完了です。

その後スパチュラを動かしてみて、水分量にもよりますが↑のようにトロトロ落ちてくる感じになると思います。
この感じは・・・何かに似ているとは表現できないです。
大変扱いづらく変化するけど、上記でも書いたように、冷蔵庫に入れれば生地が締まって扱いやすくなる(極端に緩くなければの話)ので大丈夫です。


ところで、どの日数発酵し続ければ良いのか、と思って実験として、1度膨らんだあと潰して更に2日間置いてみましたが、一晩置いて使用しても、2晩置いて使用しても、料理を作る際の発酵の加減には問題はありませんでした。しかし、バクテリアさんの餌(小麦粉)がなくなれば死んでいくので、一昼夜で2倍程度膨らんだところで完成ということにしております。


冷蔵庫に入れても、生地は発酵が進んで行くようです。発酵臭(サワー臭)が強くなります。



保存方法






保存する時は、チャック式のビニールに入れて口をしっかり閉じ、ラップを巻いてまたチャックのビニールに入れています。(↑な感じ)
日本の冷蔵庫には、『納豆菌』がいることが多いので、念のため、です。

生地の一部は、万が一の保険として冷凍庫に保管しています。(これは、糠床を漬けるときにもやりますよね?)


冷蔵保存しても発酵していくので、使わない場合は冷凍保存が望ましいですが、冷蔵保存の生地の使用期限、ですが、これはどうなんだろう?前回作ったのが、11/15前後で先日使っても問題がなかったので、(まだ、単体で包子を作っていないので何とも言えないですが)意外と長生きかもしれません。
わたし自身は、冷凍保存してその都度解凍して使うようにしましたが、冷凍したもので培養しても見事膨らむので、大丈夫そうです!


後日談として、更に置くとグレーになってきます・・・👻
グレーになったものを(グレーを避けて)使ってみましたが、ちょっと怖かったけれど問題なく使えました。
臭いとしては、粘土のような・・・サワー臭ではなくなっています。


流石にグレーの生地は培養には使わないようにして、冷凍してあるものを解凍して再度培養しました。

このように、老麺は培養もそんなに難しくなく出来るので(しかもカビが生える、ということがほぼない)、意外や意外で、天然酵母にしては扱いやすいかもしれません。


使い方としては、各本にあるレシピ通りですが、この場合は単体利用ではなく、ベーキングパウダーなり、イーストなり膨らませるものと組み合わせて使うことも多いようです。



応用編として、老麺を使ってピザ生地を作ってみましたが、問題なく膨らみました!
ナポリ生地は生ビール酵母を使って発酵させるのですが、ビール酵母を使わずとも、モチモチの生地になって、美味しく出来ました♪


今度はナンもしくはピタを作ってみようと思っています。


というわけで、参考になるでしょうか?!








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